・朝起きたときに奥歯が痛む
・なんとなく頭痛や肩こりが続く
・きちんとケアしているのに歯が欠ける
こんな自覚症状がある場合には、歯ぎしりの可能性を考えてみることも大切です。
今回は、歯ぎしりの種類や原因、放置する危険性、治療法などをまとめてご紹介します。
一般的に歯ぎしりというと、「寝ている間にギリギリと音を立てて歯をすり合わせること」といったイメージがあります。
しかし、実際にはいくつかのタイプに分類することができます。
ブラキシズムとは歯ぎしりのことですが、より学術的な表現をすれば「上下の歯が非機能的な接触を起こしている状態」と言われます。
細かく見れば、次のような種類が挙げられます。
・グラインディング:いわゆる歯ぎしりのこと
・タッピング:上下の歯をカチカチと噛み合わせること
・クレンチング:力を込めて歯を噛み締めること
いずれも歯の表面や歯ぐきにダメージを与えてしまい、後述するさまざまなリスクの原因となります。
歯ぎしりには、睡眠時に起こるものと覚醒時に起こるものの2種類があります。
一般的には寝ている間に起こるものとしてイメージされることが多いですが、実は起きている間にも、無意識のうちに発生しているケースがあります。
特に「何かに集中しているとき」「車の運転中」「イライラしたとき」などは、知らず知らずのうちにグラインディングやクレンチングが生じやすいタイミングといえるでしょう。
ブラキシズムの原因については、睡眠時と覚醒時で異なる発症メカニズムが存在していると考えられます。
睡眠時のブラキシズムは、ほとんどが眠りの浅いタイミングで起こるとされています。
そのため、次のようなものが主な原因と考えられます。
・アルコール
・カフェイン
・日中のストレス
・噛み合わせ
また、噛み合わせが悪ければ、特定の歯のみが強く接触してしまう影響などでブラキシズムも発生しやすくなります。
覚醒時のブラキシズムは、次のようなタイミングで起こるとされています。
・仕事中
・勉強、読書
・運転
・楽器の演奏
・ストレス
・過度な緊張
・噛み合わせ
なお、現在では覚醒時の食いしばりが改善されることで、睡眠時のブラキシズムも改善される可能性があると考えられており、両者の関連性も指摘されています。
歯ぎしりは健康にさまざまな悪影響を及ぼします。
ここでは、歯ぎしりを放置するデメリットとして、次の6つのポイントに分けて見ていきましょう。
・歯や歯周組織へのダメージ ・知覚過敏を誘発する ・顎へのダメージ ・頭痛や肩こり ・睡眠の質の低下 ・インプラントや治療器具に悪影響を及ぼす |
一般的に、起きているときの最大咬合力(噛む力)は、体重と同程度であるとされています。
しかし、睡眠中の歯ぎしりでは覚醒時の最大咬合力を超える力が発生することも少なくありません。
コントロールできないほどの圧力が、頻繁に歯の表面や歯ぐきに加わるため、当然ながら大きなダメージが生じてしまいます。
その結果、「歯がすり減る」「歯のヒビや割れ・カケ」「インプラントの破損」「歯周病の悪化」「知覚過敏」といったさまざまな影響が発生します。
歯ぎしりによって歯の表面が傷つくことで、知覚過敏の症状を引き起こすケースもあります。
急に歯にものが染みるようになったときには、知らず知らずのうちに歯ぎしりをしていることが原因である場合も考えられます。
睡眠中の歯ぎしりは、顎に最大で500kg〜1,000kgもの荷重を発生させるとも言われています。
顎関節に想像以上の強い負荷がかかるため、顎関節症を引き起こすリスクもあります。
また、口の下顎にできるコブである「下顎隆起」の原因になるという説もあります。
下顎隆起そのものは良性の腫瘍ですが、入れ歯などを装着する際に不具合が生じたり、舌に干渉することで話しづらいと感じたりするのがデメリットです。
側頭筋や咬筋への負担によって、緊張型頭痛や肩こりを引き起こすこともあります。
歯ぎしりは本人だけでなく、近くで寝ている家族の睡眠の質も低下させてしまう恐れがあります。
また、睡眠時無呼吸症候群や胃食道逆流症などとの関連性も指摘されており、全員にも悪影響を与えるリスクがあります。
歯ぎしりによって強い負荷がかかることで、インプラントが揺らされ、顎の骨との結合が緩んでしまう可能性があります。
また、被せ物がすり減ったり割れてしまったりすることもあり、治療がうまくいかなくなってしまうのも難点です。
覚醒時のブラキシズムについては、集中や緊張が続く場面で食いしばってしまう「悪習慣」を意識的に変えることで、改善が期待できます。
たとえば、デスクワークをするときには、「時間を決めて身体を動かす」ようにすると、長時間の食いしばりを防ぐことにつながります。
一方、睡眠時のブラキシズムについては、意識的なコントロールが行えないのが難点です。「深酒を避ける」「自分に合った枕を使う」「運動やストレッチでストレス解消する」など、できるだけ歯を食いしばらないような予防策を講じると良いでしょう。
歯ぎしりによる影響が大きい場合は、歯科的なアプローチで治療を行うことも可能です。
ここでは、代表的な治療法をいくつかご紹介します。
噛み合わせに原因がある場合は、治療で歯ぎしりを緩和させることができます。
噛み合わせの改善は、歯周病やむし歯といった病気を予防することにもつながるので、優先的に取り組みたい方法です。
当院の噛み合わせの治療法や治療例については、以下のページで詳しくご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
患者さまの歯形をもとに「ナイトガード」と呼ばれるマウスピースを作成し、睡眠時に装着してもらう方法です。
手軽に実施できるので、もっとも広く普及している方法ではありますが、改善効果は一時的なのがデメリットと言えます。
また、場合によっては歯並びや噛み合わせを悪化させるリスクもあるので、信頼できる歯科医院でピッタリのものを作成してもらうことが重要です。
歯ぎしりや食いしばりを防ぐために、筋肉を弛緩させる作用を持ったボトックスを注射することもあります。
効果の持続期間は4〜6ヶ月程度とされているため、定期的な治療が必要です。
その他の治療法としては、小型のセンサーをこめかみにセットし、睡眠時のブラキシズムを検知してコントロールするバイオフィードバック療法が挙げられます。
専用のアプリと連動させて、ブラキシズムの回数や頻度を記録するとともに、検知した際には微弱な音や振動、電流を発生させて歯ぎしりを低減させるという仕組みです。
歯ぎしりにはさまざまな原因が考えられるうえ、自覚がないケースも多いため、対処が難しいのが実情です。
睡眠時の歯ぎしりでは、知らず知らずのうちに大きな負荷が歯や顎にかかっていることもあるため、放置するのは望ましくありません。
噛み合わせが原因の場合は、歯槽膿漏や知覚過敏、偏頭痛などにつながる可能性もあるので、早急に治療を行うほうが良いでしょう。
当院では患者さまお一人おひとりの状態を丁寧にカウンセリングし、一緒に治療方針を決めていくスタイルをとっています。
噛み合わせや歯・歯ぐきの不調などでお困りの方は、ぜひ『ザ・デンティスト南青山』までご相談ください。
院長:奥 桃太郎
当院では、保険適用外の治療のみを行っています。 あらかじめご承知おきください。
※初診の際は、ご予約の時間より少し早めにご来院ください。
院内感染防止について細心の注意をはらっております。
安心して治療を受けていただくために治療機器の滅菌処理はもちろんのこと、院内全体に除菌水(EPIOS ECO SYSTEM)を導入しています。