タバコの煙には200種類を超える有害物質が含まれており
全身のさまざまな器官に悪影響をもたらすことは広く知られています。
なかでも、口腔は喫煙による影響を強く受けてしまうので
やはり健康な口内環境を保つには禁煙するのが一番の近道です。
今回は、タバコが歯にどのような影響を与えるのか
確認の意味も込めてわかりやすくご紹介します。
タバコによる影響は、すでに多くの方がご存知のものから
あまり広く知られていないものまでさまざまです。
ここでは、大きく5つに分けて見ていきましょう。
タバコの影響と聞いて、真っ先に思い浮かぶのはヤニによる黄ばみではないでしょうか。
ヤニ汚れは単なる黄ばみというよりも、茶褐色や黒色を含んだ独特の色素を持つので、審美的にはかなりのマイナス要素となってしまいます。
ヤニ汚れは通常の歯みがきではなかなか落ちず、専用の歯みがき剤を使ったり、クリーニングをしてもらったりしてケアしなければなりません。
喫煙による歯周病リスクは、1日10本以上喫煙する方で通常の5.4倍、10年吸っている方で通常の4.3倍ともされており、非常に高いことがわかります。
その大きな理由は、タバコの煙により、健全な血流が阻害されてしまうことにあります。
タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、歯ぐきの血流量を減少させてしまう作用があります。また、一酸化炭素にも正常な酸素の供給をさまたげてしまう性質があります。
歯ぐきの血液循環が悪化すると、歯周ポケット内では歯周病の原因菌が繁殖しやすくなります。
細菌が放出する毒素によって歯周ポケットはさらに深まり、やがては歯を支えるはずの骨も溶けてしまい、進行すると歯が失われてしまうのです。
タバコによる口臭は、有害物質による直接的な原因と、喫煙によって引き起こされる歯周病などの間接的な原因の2つによって発生します。
歯周病のメカニズムについて先ほど触れましたので、ここでは直接的な原因について見ていきましょう。
タバコの有害物質には、歯に付着するとそれ自体ニオイを発生するものが多いです。
さらに、タバコに含まれるニコチンには、唾液の分泌量を減少させてしまう効果もあります。
唾液腺は血液を唾液に変えて分泌しているため、ニコチンの血管収縮作用が原因で、唾液の分泌量の減少につながっていると考えられます。
唾液が少なくなると、口腔内には細菌が繁殖しやすくなるため、口臭が発生するリスクが上昇します。
タバコが持つ以下の特徴により、歯周病だけでなくむし歯のリスクも高まってしまいます。
唾液には殺菌作用とともに、歯の再石灰化作用によって初期むし歯を防ぐ効果もあります。
そのため、喫煙で唾液が減少すれば、歯周病や口臭だけでなく、むし歯のリスクも高まってしまうのです。
血流の悪化によって、
「本来はトラブルが発生しているはずなのに出血が少ない」
「痛みに鈍くなってしまう」
といった別の問題が生じるケースもあります。
その結果、口腔内に異常が発生していてもサインを見逃し、気づかないうちに症状が悪化してしまうのも喫煙によるリスクの1つです。
個人差はありますが、以下のように、喫煙の習慣によって歯の治療にも影響が出てしまうケースがあります。
喫煙者は、非喫煙者に比べて歯周病治療の効果が低下しやすいとされています。
一方、禁煙すると歯ぐきの免疫や細胞の働きが向上するため、治療効果も上がりやすいとされています。
血流の悪化により、外科治療時に生じた傷口がなかなか治らず、回復まで時間がかかってしまうケースもあります。
また、治癒が遅くなることから、インプラント治療で装置が脱落しやすくなるといったトラブルもあります。
歯列矯正によって歯の位置が移動することを「歯が動く」と表現しますが、喫煙による血行不良で、歯の動きが遅くなってしまう方もいます。
その結果、思ったような結果が得られず、治療に時間がかかってしまうこともあります。
今回は歯の健康とタバコの関係性についてご紹介しました。
タバコの害と聞くと、主に呼吸器や循環器への影響がイメージされることも多いですが、歯にもたらすデメリットも決して見過ごせるものではありません。
歯科治療は、単にトラブルや痛みを解決するだけでなく、ご自身の口腔状態にじっくりと向き合えるとても大切な機会でもあります。
当院での診療が、患者様にとってより良い口内環境を目指すきっかけとなれたら幸いです。
院長:奥 桃太郎
当院では、保険適用外の治療のみを行っています。 あらかじめご承知おきください。
※初診の際は、ご予約の時間より少し早めにご来院ください。
院内感染防止について細心の注意をはらっております。
安心して治療を受けていただくために治療機器の滅菌処理はもちろんのこと、院内全体に除菌水(EPIOS ECO SYSTEM)を導入しています。